01 一歩ずつ、前へ。

今日も、やるべきことをやった。
一歩ずつ。目の前のことを。
一歩ずつ。自分にできることを。

一気に世の中を変える方法ではないのかも知れない。
こんな時代に、遠回りではないかとも言われる。
けれど、私たちはその方法で 年歩んできた。
少しずつではあるが、丁寧に未来を作り続けてきた。
信頼を築くとは、そういうことなのだと思う。

そしてその歩みは、すでに次の50年を見据えている。
確実に、未来へとたどり着くために。
着実に、誰かの夢につながると信じて。

だから、

明日も、やるべきことをやる。
一歩ずつ。目の前のことを。
一歩ずつ。自分にできることを。

02 50年後を目指す企業が、歩むべきこととは。

1976年生まれ。横浜国立大学卒業後、KDDI株式会社にて
ブランディング・マーケティング・アドバタイジングに携わる。
2015年から、家業である亀田産業株式会社に参画。
創業50年を超える歴史と実績を誇る亀田産業の、
伝統の継承とさらなる成長のための会社作りを目指す。

1977年生まれ。東北学院大学卒業後、富士通グループの
システムエンジニアを経て、クリエイティブエージェンシー、
株式会社ラナエクストラクティブを2007年に設立。
東京と仙台を拠点に、数々の企業ブランディングを手がける。
亀田産業50周年プロジェクトも担当。

地にしっかりと足をつけ続ける。

※亀田=亀、太田=太

太 :まず、創立50周年おめでとうございます。
50年って、すごいですね。

亀 :ありがとうございます。
正確には1968年創業、2018年で50年目を迎えます。
祖父が創業者なのですが、戦後の不安定な時代を乗り切り、
創業まで漕ぎ着けたと聞いています。

太 :長い間安定して会社が存続している要因は、
どのあたりにあるのでしょうか。

亀 :一言で言えば仲間(従業員)と経営者の「努力」が
あったからではないか
と思っています。
創業当時も、常に祖父を取り巻く仲間がいたそうです。
私が経営に参画した時点でも社長は常に従業員に感謝しており、
当社で永く働き続けてもらうためにはどうすれば良いかを考える。
そう思うと、創業前後のDNAは今でも残っているのだと感じます。

太 :終身雇用があたりまえだった時代に、
常に働く側の目線で経営陣が考えていたというのは、
逆に今の時代を先取っていた感じがしますね。

亀 :確かに。社長から聞いていたのは「従業員は家族だ」という考え方。
従業員一人ひとりに、それぞれの生活があるわけなので、
その家族も含め守るのが雇用主としての仕事だという考え方
ですね。
実際経営に関わってみると企業を取り巻く環境は常に大きく変化し、
仕事量が一定ではないことを実感します。
都度、給与の増減を大きく調整してしまうと家族の負担も増える。
売上が大きく変化しても一定の給与水準を保ち続けるためには、
どうすれば良いのか。ということを最優先で考えてきたようです。

太 :創業時から受け継がれている重要な理念ですね。

亀 :社長は先代社長からそういったマインドを含め、
経営の秘訣を大切に受け継いでいます。

太 :半世紀続くマインド。重いですね。
まだ弊社は10年のひよっこみたいなものですが、
「社員の収入を保ち続ける」ってものすごく大変で、
ものすごく重要なことだなと実感しています。
社員が増える度、腹に力を込めて採用印を押しています。(笑)

亀 :そうですよね。わかります。(笑)
自分が雇われているときは考えたこともなかったですね。
50年続く従業員と経営者の努力。
時代が変わっても変えてはならないマインド。
地に足をつけて考えたからこそ今がある。

その思いは、これからも大切にしたいと思っています。

前へ強く踏み出すべき時代。

太 :時代背景ですが、御社の創業当時は社会のほうが不安定だった。
そこで、環境を安定させることへの意識を高めたとのことですが、
今のように社会が安定してくると、次のステップは何かを考える、
良いタイミングなのかもしれませんね。

亀 :そうですね。安定経営はもちろん必要で最低条件ですが、
今の時代、会社としての現状維持は衰退と同じだと思っていて、
次の進化のためにも、会社が外部からどのように見られているか、
どのように評価されているか、という点について、
経営者から従業員まで同じ感覚を持つことが重要
だと思っています。

太 :わかります。経営者と従業員が同じ感覚を共有するって大切ですよね。
頑張った分、社員を評価するためには、
頑張った分、社会から会社が評価される必要もありますからね。

亀 :そう。従業員個人が頑張ることと、
会社が社会から評価されることを、どう繋げるかが重要。
現時点の弊社主力事業は航空部品の加工・製造なのですが、
航空機は何より安全が求められる乗り物ですから、
部品加工・製造には、厳密なルール、高い品質、
トレーサビリティが必須です。

太 :すべても業務において厳密さが求められる分、
スキルを身につけるのにかなり時間がかかりそうですね。

亀 :でも、逆に言えば航空の仕事は簡単にルールを理解・実行したり、
スキルを身につけたりできない世界だからこそ、
マスターすればその個人は世界レベルの人材になれる
わけです。
その個人が集まる集団は社会からも評価されると思いますので、
従業員、ならびに社外へもっと積極的に伝えていきたい部分ですね。

太 :「維持する」という部分と「切り開く」という部分の両輪で、
自分も会社も前へ進める可能性が広がりますね。
僕は「切り開く」役が圧倒的に好きですが。(笑)

亀 :わたしもどちらかというと「切り開く」方が得意です。(笑)
やりたいことが次から次へと湧き出てくるタイプなのですが、
会社を前に進めるためにはベースとなる信頼や体力が必要で、
それを長年かけて築いた創業者や現社長には大変感謝していますし、
自分も受け継いでいかなければならないと思っています。
しかし、かつて荒波の中で「維持する」ことが重要な時代でしたが、
現代は情報に溢れ、予想もしていなかった分野から競争相手が現れ、
維持しているだけでは足下をすくわれる時代
になっています。
幸い当社には長年築いてきたベースがありますから、
それを維持しながら、同時に切り開くことができれば、
従業員にとっても、その家族にとっても、そして社会にとっても、
魅力的な存在であり続けられるのではと考えています。

太 :そうですね。弊社もさまざまな企業の方から、
「切り開く」という部分を期待されていることが多いんです。
デジタルアナログ関係なく、クリエイティブアイデアを活かした、
現状の閉塞感を打破する新しい「切り開き方」を期待されますね。
最近ではどの仕事も「それ」ありきともいえる依頼なので、
プレッシャーはありますが、やりがいもあります。

亀 :もちろん、今回御社にお願いしているロゴや名刺、映像、
そしてWeb、封筒や紙袋などのツールを含めたデザイン全般の、
リブランディングによる良い効果も期待しています。

太 :ありがとうございます。
今回御社の企業ロゴも細かく設計させていただきましたが、
細部の角度や色、太陽の動きやカメラの空間移動まで、
ここまで考えるかという細部まで、しつこくやらせて頂きました。

亀 :いろいろと粘ってましたよね。(笑)

太 :弊社のメンバー、良い意味でこだわりが粘着質なんです。(笑)
亀田さんから見て「クリエイティブ」の効果って何だと思いますか?

亀 :まず、経営に参加して最初に必要だと思ったことが「元気」なんです。
進むためには「元気」が必要。そのためには人の心を動かすことが重要。
人の心を動かすには、経営者自身が常に前向きに行動していることと、
その旗印として質の高い「クリエイティブ」が必要
だと考えていました。
今回のリブランディングは、単に見た目を美しくしたいだけではなく、
会社を内外から元気にしたいという想いから、御社に依頼したんです。

太 :身が引きしまります。
お声がけいただけて光栄です。

人の気持ちを考えると、
未来が見えてくる。

太 :次の50年を見据えて、進めていることがいくつかあると思うのですが、
「家具事業」にも今後、さらに力を入れていく予定なのですか?

亀 :もともと弊社、創業以前は材木の卸業をしていたんです。
その流れから弊社での家具販売が始まったと聞いています。
戦後、家具の需要が著しく増えたので非常に重宝されたみたいです。
家具は生活に密着した基盤そのものであり、ないと困るものなので、
昔はお客様の方から買いに来てくださっていたのですが、
今はモノに溢れ、競合が増え、時代背景が大きく変わっています。
時代背景の変化への対応は、重要なポイントだと思っています。

太 :確かに。家具事業も時代に合わせた変化が求められているのですね。

亀 :はい。逆に言えば、家具以外の分野に進出できるチャンスも多い。
お客様の家具を取り巻くライフスタイルをよく分析していきながら、
各々に合った提案を考えられれば、チャンスは広がるはず
なんです。

太 :はじめに社会課題があり、その解決の手法としても、
家具事業は良い切口になるということですね。

亀 :はい。時代が何を求めているかを考えてビジネスを考えたいですね。
戦後、モノが無く生活がままならなかったという社会課題と同じく、
現在、モノの選択肢は増えているのに家庭やオフィスにおいて、
なんとなく気持ちの余裕が無くなってきていることでさえも、
ひとつの社会課題と捉え、その課題を解決する方法としても、
家具事業をひとつの重要な切り口として考えています。

太 :なるほど。弊社の仕事においても共通する考え方ですね。
「ロゴをつくる」「Webをつくる」「名刺をつくる」
ということ自体が目的ではなく、企業が抱える課題を見つけ、
デザインで「解決」を目指すことが重要だと常に思っています。

亀 :太田さんは、昔から作業に入る前の会話を大事にしていますよね。

太 :はい。結果だけを優先して本質を見失ってしまうのが怖いので。
目の前だけにとらわれると、あれ?そもそも目的何だっけ?って。
で、結局結果も出せないという辛さも若い頃いっぱい味わったので。

亀 :結果は大事ですよね。私も前職で結果にこだわってきました。
幸いブランディング・マーケティング・アド業務全般について、
幅広く経験することができたので、結果だけでなく、
その前後にあるものを考える癖がついたのは幸運でした。
さっきの話も、目の前のゴールは家具の売上を上げることですが、
真のゴールは現代の社会課題を解決することであって、
そのためには一歩引いて社会に目を向け、何が今問題なのかを、
しっかりと見据えることが重要
だと思います。

太 :そうですね。

亀 :そうすることで、どのような家具が必要なのかが見えて来る。
家族の会話を増やすには。楽しく子育てできる環境を作るには。
未来を担う子供に大切なことを伝えるには。地方を元気にするには。
オフィスの会話を増やすには。リラックスして仕事に集中するには。
家具のことを考えると、未来をどうすべきかが見えて来る気がします。

太 :人の気持ちに寄り添えば寄り添うほど、未来が見えて来るんですね。

50年後ははるか先なのか。

太 :企業としてこれから、特に心がけていきたいことはありますか。

亀 :先手先手で、先を考えながら、個人的にも、会社としても、
行動に移していきたいと思います。楽天やAmazonもそうですよね。
自分から何かが欲しいと思ってくれるのを待つのではなく、
レコメンドで「これが欲しかったのでは?」と聞いてくれるから、
買いたくなるというサービスが増えているのも、それだと思います。

太 :何をしたいかを自分からではなく、提案してもらうのを待つ傾向は、
年々強くなっている気がします。社内でもよく話しているのですが、
企画やデザインの仕事も、クライアントからの依頼を待つのではなく、
「今、何を提案すれば喜んでもらえるのか」を大事に
しています。

亀 :何が喜んでもらえるのか。は重要な切り口ですね。
私は日本ソムリエ協会の資格を持っているので、
世の中をもっとハッピーにするために、
ワインの力をうまく使えないかなあと思っています。
家具があれば食事がある。食事があれば会話がある。
会話に花を添えるのがワインです。そう連鎖的に考えていくと、
一見関係なさそうな家具とワインも繋がっていますよね。

太 :まさに、ライフスタイル事業ですね。
航空機の部品をつくる仕事にしても「モノ」ではなく、
「夢を追って海外へ飛び立つ若者の未来」をつくっている。
そうとも考えられますよね。

亀 :そうなんです。広い視野があれば一本筋が通った目的が見え、
そこに向けて各事業をどう連携していくかを突き詰めていけば、
会社の成長軸もより明確になっていく
のではないかと考えています。
当社の航空と家具も、今は完全に別事業となっていますが、
人々が求めるモノやコトにうまく社内のリソースを合わせれば、
今まで以上に社会の役に立つ製品が開発できる気がしますし、
経営的にも効率化が目指せると思っています。

太 :なるほど。ライフスタイル事業のことを突き詰めることは、
エンドユーザーはもちろん、会社の成長においても、
社員のライフスタイルにとっても、
良い効果をつくることに繋がりそうですね。

亀 :はい。会社の50年後を考えるためには、従業員一人ひとりの、
1年後、年後、10年後の姿もイメージして、
計画と振り返りを大事にしていく必要がある
と思っています。

太 :何事も一歩づつ。ですね。
今はまだ、弊社と御社は業界として異なる印象がありますが、
根本には共通するマインドが多い気がしますね。

亀 :きっと、これからの時代はどんな業界も次々と繋がっていくはず。
これからも協力して日本を盛り上げていきましょう!

太 :もちろんです!
今日はありがとうございました!

03 沿革

1945頃 :初代、東京(新宿)にて、自動車の内装修理業と材木の
卸商を始め、家具メーカーへ卸す

1956 :拠点を宇都宮に移し「亀田商会」創業
引き取った家具で家具店を開業
※現在の家具事業のはじまり
この頃から、富士重工業のパートナーとして
自衛隊機の座席修理などを受注
※現在の縫製事業のはじまり

1968 :富士重工業から小型飛行機やヘリの部品製作などを受注

1969 :これを機に「亀田商会」から「亀田産業株式会社」へ
スバル部品やタイヤなどの自動車用品販売業を開業
平行して、住宅内装などの建設業許可を取得する

1973 :現社長、入社

1979 :富士重工業から新機種提案用モックアップ等
木工部品製作を受注

1981 :初代他界。現社長が30代で代表になる

1981 :自動車用品事業から撤退

1984 :会社のロゴマークを作成
富士重工業から民需機のマスターモデル製作を受注
※現在の治具事業のはじまり

1991 :富士重工業よりBoeing767関連部品
ハニカムコア加工を受注のちにBoeing777も受注
※現在のハニカムコア事業のはじまり

1996 :Boeing737ハニカムコア加工を受注

1999 :新たな顧客開拓を求めてカントリー家具取扱開始

2003 :富士重工業Airbus A380生産開始に伴いハニカムコア加工を受注

2005 :JISQ9100取得

2006 :NADCAP取得

2007 :Boeing787ハニカムコア加工を受注
酒類販売免許取得

2009 :エコアクション21取得
富士重工業からの受注拡大に伴い新卒採用を再開

2010 :以降毎年新卒採用を継続。会社の若返りが図られる

2015 :現専務、KDDI株式会社を退職し入社

2017 :富士重工業 株式会社SUBARUへ社名変更
より徹底した納期、品質管理のため生産管理システム導入
家具店内のリニューアル、販売活動強化
2018年の創業50周年に向けたプロジェクトとして
CI、コーポレートサイトのリニューアル

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