2018年10月1日、
亀田産業は設立50周年を迎えました。
お客様への感謝の気持ちを忘れず、
これからも着実に歩み続けます。
2018年10月1日、
亀田産業は設立50周年を迎えました。
お客様への感謝の気持ちを忘れず、
これからも着実に歩み続けます。
自由自在な発想のSteve* inc.と、
新しい時代のモノづくりを語る。
これまでの50年の想いを再確認し、
これからの50年に力強く踏み出すための、
さまざまな取り組みを紹介します。
2018年に50周年を迎えた亀田産業。
設立から現在までを振り返り、
そのルーツを探ります。
亀田産業株式会社 専務取締役
亀田寛が考える、50年後を目指す企業が、
歩むべき方向とは。
亀田産業株式会社では新事業を含め、
一緒に歩んでいただけるスタッフを募集中。
詳細はこちらをご覧ください。
2018年10月1日、50周年を迎えた亀田産業。
半世紀を超えて積み重ねてきた知見を飛躍させるため、
いくつかのプロジェクトを発足しました。
これまでの50年の歩みを再確認し、
これからの50年に力強く踏み出すための、
さまざまな取り組みを紹介します。
亀田産業の理念を伝えるコピーと
映像を制作しました。
社員一人ひとりが大切にしている
想いや会社としての理念を、
オリジナルのサウンドとともに伝えています。
地元、宇都宮の美しい風景とともにご覧ください。
今日も、やるべきことをやった。
一歩ずつ。目の前のことを。
一歩ずつ。自分にできることを。
一気に世の中を変える方法ではないのかも知れない。
こんな時代に、遠回りではないかとも言われる。
けれど、私たちはその方法で50年歩んできた。
少しずつではあるが、丁寧に未来を作り続けてきた。
信頼を築くとは、そういうことなのだと思う。
そしてその歩みは、すでに次の50年を見据えている。
確実に、未来へとたどり着くために。
着実に、誰かの夢につながると信じて。
だから、
明日も、やるべきことをやる。
一歩ずつ。目の前のことを。
一歩ずつ。自分にできることを。
コーポレートロゴのリニューアルを行いました。
元々ハニカムコアの六角形を象ったロゴを使用していましたが、
紙だけではなく今後Webを含めたデジタル媒体での
使用を考えた設計とバランスの調整を行いました。
名刺を含めた紙媒体のツールなども同時に新しくしています。
航空機の精密部品の開発や
家具の丁寧なメンテナンス、
計画的なワインの仕入れと管理など、
細かい部分への気配りが
徹底されている亀田産業。
その精密さを象徴するために、
徹底的に等間隔を保つための最適なバランスに調整。
厳格なドイツの工業用に作られた「DIN」を、
ロゴを中心としたフォントに使用。
配色もCMYKだけではなく、
モニターなどで表示されるRGBの際にも、
視認性が保てるような配色を心がけました。
コーポレートサイトのリニューアルを行いました。
現代社会において、
企業の顔となっているWebサイト。
企業としてどのような情報を、
どう載せるべきか議論しながら、
一つひとつのコンテンツ表現などを
改めて整理しました。
亀田産業の事業であるエンジニアリング事業と、
家具やワインの提案を含めたライフスタイル事業、
その他、今後増えてくる
さまざまなアプローチが伝わるよう、
ビジュアルだけではなく、
コピーのわかりやすさへも配慮。
また、スマートフォンでの表示にも対応できるよう、
レスポンシブでの構築を行うなど、
世代の枠にとらわれない
ユーザビリティを意識しました。
ライフスタイル事業のユーザーの購入接点として、
家具とワインを取り扱う、自社ECサイトをオープン。
商品を取り扱うだけではなく、
ライフスタイル提案を伝える、
読み応えのあるコンテンツの連載も行っています。
家具とワインという
「商品」を売るだけのサイトではなく、
ライフスタイル提案も含めた
総合的なブランドとして伝えたい。
そんな願いを込めて
「亀田屋」という屋号としました。
亀田産業のロゴを想起させる
六角形をモチーフとしながら、
50年の歴史を感じるような
老舗感も意識しています。
理想のライフスタイルを追求する
という印象を強めるために、
家の窓にも見えるようなロゴにしています。
また、亀田屋コラムという形で連載を開始。
亀田屋として大切にしている想いや、
取り扱う商品に対しての考え方を
直接伝えるメディアとして、
経営者自らの言葉で正直な「気持ち」を伝える
ECサイトを目指しています。
日本航空宇宙工業会(SJAC)と
東京ビックサイトが主催するイベント
「国際航空宇宙展2018東京」に、
数十年ぶりに参加しました。
SUBARU航空カンパニーの下請け企業として、
設立以来50年にわたり航空機関連部品の
製造・加工を行ってきました。
そこで、これからの総合力の時代を見越して、
家具・航空双方のリソースと技術力をアピール
することで、亀田産業のブランド力を強化。
同時に、世界を意識するという従業員目線アップ、
みんなでひとつのことを成し遂げる社内結束力・
チーム力強化を狙って実施するに至りました。
ツールのデザインを行う上での工夫点としては、
技術系の展示会の中でも手にとってもらえるよう、
亀田産業の真摯に取り組む姿勢を表現出来るように、
夕陽に染まる航空機と情緒的なコピーで構成。
日英版でビジュアルも変えています。
家具とワインを取り扱う総合的な
ライフスタイル提案のお店、
「亀田屋」としてのブランディング強化をすべく、
栃木県宇都宮市にある「亀田家具」をリノベーション。
地域に根ざした店舗づくりにも力を入れていきます。
家具、ワイン、オフィス用品という「商品」を売るだけの
お店ではなく、お客様の好みや悩みに寄り添いながら、
総合的なライフスタイルの提案や施工まで行っていく。
そんなコンセプトを実現するための店内にすべく、
内装も細部までこだわり、
実際に体験して購入できる商品や、
お客様とのコミュニケーションを生み出すエリアも確保。
また、地域密着型のお店作りをしたいという思いから、
栃木を代表する素材である「大谷石」を採用。
エントランスで、お客様を優しくお迎えします。
2020オリンピック、2022東口再開発など、外部からの
お客様が増える可能性を秘める宇都宮をもっと魅力ある
街にするため、亀田屋は率先して動き始めています。
栃木銀行をはじめ、美術館やカフェにも配布されている
フリーペーパー「PUSH.」に弊社専務取締役の
インタビューが2ページにわたり掲載されました。
亀田産業株式会社としての
取り組みについて語っています。
2017年に発行し、毎号1万部を発行している、
栃木県ゆかりのフリーペーパー「PUSH.」にて、
インタビューに答えています。
「デザインとは、目に見えるものを作ることだけではなく、
目に見えない心地よさや豊かさを作る作業でもあり、
いわゆるデザイナーだけがする仕事ではないのです」
デザイン分野について多くの著名人の掲載がある同紙で、
ハニカムコア加工の分野における高い加工技術と、
家具・オフィスファニチャー・内装工事を取り扱う
ライフスタイル部門についての想いを語っています。
家具・オフィスファニチャー・内装工事を取り扱う、
ライフスタイル部門「亀田屋」の広告宣伝ツールとして、
パンフレットとクリアファイルを制作しました。
パンフレットではインテリアコーディネートや、
オフィスづくりなど、亀田屋にできることの説明や、
亀田屋をパートナーに選んでいただきたい理由などを、
イラストや写真を使ってわかりやすく伝えています。
また、「もっと宇都宮を魅力的に」をテーマに、
豊かな土地、宇都宮をもっと魅力的にしたいという、
地元貢献への強い思いも掲載しています。
また、オリジナルで作ったクリアファイルは、
建築設計で必須の三角スケール機能も搭載。
図面の寸法も、このクリアファイルさえあれば、
感覚的にわかりやすいというアイデアを入れ込みました。
建築設計事務所STaDが設計した
高さ、幅、奥行きなどがカスタマイズできるオリジナルソファ、
CASE SOFAを亀田屋で販売開始しました。
建築設計事務所 STaDとコラボレーション。
空間に馴染みやすいだけでなくお客様の住環境や、
お部屋に合わせてカスタマイズできる
デザイナーズソファ「CASE SOFA」を先行販売。
シンプルなデザインに加え、住まい手・
使い手に合わせて各パーツのサイズや生地を、
自由に選べる柔軟性を兼ね備えています。
ハンドメイドによるMade in Japanにこだわり、
一生涯使用できる頑丈なフレームと、
丁寧な仕上がりの張地で構成された一級品です。
亀田屋では新しい時代のライフスタイルを牽引する
さまざまなブランドとのコラボレーションを、
家具業界のみならず、これからも積極的に進めていきます。
栃木県経済同友会の会議室や応接室の
テーブルやチェアなどを含めたインテリア一式を、
コーディネートしました。
栃木県を代表する企業が軒並み名を連ねる経済団体、
栃木県経済同友会。宇都宮市内にある本部事務所の
会議室や応接室のリニューアルに伴い、テーブル、
チェアの選定から壁・床などの内装工事まで
インテリア一式をコーディネートしました。
県内外の主要なお客様をお迎えする拠点として、
地元の木材を活用した壁面パネルを実装するなど、
自然豊かな栃木県のPRになるような空間提案を
行いました。
大谷石を実装した亀田屋実店舗もそうですが、
栃木の誇る木材や石材を活かす空間設計や家具提案は、
宇都宮に店舗をかまえる亀田屋にしかできない強みとして、
これからも推進してまりいます。
亀田産業株式会社の創業からの歴史を、
期間ごとにまとめました。
これまでの歩みを、ぜひご覧ください。
1945頃 :
初代、東京(新宿)にて、自動車の内装修理業と材木の卸商を始め、家具メーカーへ卸す。
1956:
拠点を宇都宮に移し「亀田商会」創業。引き取った家具で家具店を開業。(現在の家具事業のはじまり)この頃から、富士重工業のパートナーとして自衛隊機の座席修理などを受注。(現在の縫製事業のはじまり)
1968:
富士重工業から小型飛行機やヘリの部品製作などを受注。
1969:
これを機に「亀田商会」から「亀田産業株式会社」へ。スバル部品やタイヤなどの自動車用品販売業を開業。平行して、住宅内装などの建設業許可を取得する。
1973:
現社長、入社。
1979:
富士重工業から新機種提案用モックアップ等、木工部品製作を受注。
1981:
初代他界。現社長が30代で代表になる。
1981:
自動車用品事業から撤退。
1984:
会社のロゴマークを作成。富士重工業から民需機のマスターモデル製作を受注。(現在の治具事業のはじまり)
1991:
富士重工業よりBoeing767関連部品、ハニカムコア加工を受注のちに、Boeing777も受注。(現在のハニカムコア事業のはじまり)
1996:
Boeing737ハニカムコア加工を受注。
1999:
新たな顧客開拓を求めてカントリー家具取扱開始。
2003:
富士重工業Airbus A380生産開始に伴いハニカムコア加工を受注。
2005:
JISQ9100取得
2006:
NADCAP取得
2007:
Boeing787ハニカムコア加工を受注。酒類販売免許取得。
2009:
エコアクション21取得。富士重工業からの受注拡大に伴い新卒採用を再開。
2010:
以降毎年新卒採用を継続。会社の若返りが図られる。
2015:
現専務、KDDI株式会社を退職し入社。
2017:
富士重工業 株式会社SUBARUへ社名変更。より徹底した納期、品質管理のため生産管理システム導入。家具店内のリニューアル、販売活動強化。2018年の創業50周年に向けたプロジェクトとしてCI、コーポレートサイトのリニューアルを開始。その他、続々とプロジェクトを進行中。
2018年10月1日、50周年を迎えた亀田産業。
半世紀を超えて積み重ねてきた知見を活かすため、
いくつかのプロジェクトを発足しました。
これまでの50年の想いを再確認し、
これからの50年に力強く踏み出すための、
さまざまな取り組みを紹介します。
亀田産業株式会社 専務取締役
亀田寛が考える、50年後を目指す企業が、
考えなければならないこととは。
常識にとらわれない家具づくりの石巻工房と、
自由自在な発想のSteve* inc.が、
新しい時代のモノづくりを語る。
既存の領域を超えて活動する2人の社長が考える、
新しい次代の企業の生き方とは。
50周年事業を締めくくるインタビューをご覧ください。
亀田産業株式会社 専務取締役 亀田寛が、
50年後を目指す企業としての心構えを語る、
スペシャルインタビューをご覧ください。
亀田産業株式会社
専務取締役
亀田寛 (かめだひろし)
1976年栃木県宇都宮市生まれ。
横浜国立大学卒業後、KDDI株式会社にて、
ブランディング・マーケティング・アドバタイジングに携わる。
2015年から、家業である亀田産業株式会社に参画。
創業50年を超える歴史と実績を誇る亀田産業の、
伝統の継承とさらなる成長のため、明るく楽しく健康的な会社作りを目指す。
──まず、創立50周年おめでとうございます。50年って、すごいですね。
亀田 :
ありがとうございます。正確には1968年創業、2018年で50年目を迎えます。祖父が創業者なのですが、戦後の不安定な時代を乗り切り、創業まで漕ぎ着けたと聞いています。
──長い間安定して会社が存続している要因は、どのあたりにあるのでしょうか。
亀田:
一言で言えば仲間(従業員)と経営者の「努力」があったからではないかと思っています。創業当時も、常に祖父を取り巻く仲間がいたそうです。私が経営に参画した時点でも社長は常に従業員に感謝しており、当社で永く働き続けてもらうためにはどうすれば良いかを考える。そう思うと、創業前後のDNAは今でも残っているのだと感じます。
──終身雇用があたりまえだった時代に、常に働く側の目線で経営陣が考えていたというのは、逆に今の時代を先取っていた感じがしますね。
亀田 :
確かに。社長から聞いていたのは「従業員は家族だ」という考え方。従業員一人ひとりに、それぞれの生活があるわけなので、その家族も含め守るのが雇用主としての仕事だという考え方ですね。実際経営に関わってみると企業を取り巻く環境は常に大きく変化し、仕事量が一定ではないことを実感します。都度、給与の増減を大きく調整してしまうと家族の負担も増える。売上が大きく変化しても一定の給与水準を保ち続けるためには、どうすれば良いのか。ということを最優先で考えてきたようです。
──創業時から受け継がれている重要な理念ですね。
亀田 :
社長は先代社長からそういったマインドを含め、経営の秘訣を大切に受け継いでいます。
──半世紀続くマインド。重いですね。「社員の収入を保ち続ける」ってものすごく大変で、ものすごく重要なことだなと改めて感じました。
亀田 :
確かに、自分が雇われているときは考えたこともなかったですね。50年続く従業員と経営者の努力。時代が変わっても変えてはならないマインド。地に足をつけて考えたからこそ今がある。その思いは、これからも大切にしたいと思っています。
──時代背景ですが、御社の創業当時は社会のほうが不安定だった。そこで、環境を安定させることへの意識を高めたとのことですが、今のように社会が安定してくると、次のステップは何かを考える、良いタイミングなのかもしれませんね。
亀田 :
そうですね。安定経営はもちろん必要で最低条件ですが、今の時代、会社としての現状維持は衰退と同じだと思っていて、次の進化のためにも、会社が外部からどのように見られているか、どのように評価されているか、という点について、経営者から従業員まで同じ感覚を持つことが重要だと思っています。
──やはり、経営者と従業員が同じ感覚を共有するって大切ですか?
亀田:
大切ですね。頑張った分、社員を評価するためには、頑張った分、社会から会社が評価される必要もありますからね。従業員個人が頑張ることと、会社が社会から評価されることを、どう繋げるかが重要。現時点の弊社主力事業は航空部品の加工・製造なのですが、航空機は何より安全が求められる乗り物ですから、部品加工・製造には、厳密なルール、高い品質、トレーサビリティが必須です。
──業務において厳密さが求められる分、スキルを身につけるのにかなり時間がかかりそうですね。
亀田 :
でも、逆に言えば航空の仕事は簡単にルールを理解・実行したり、スキルを身につけたりできない世界だからこそ、マスターすればその個人は世界レベルの人材になれるわけです。その個人が集まる集団は社会からも評価されると思いますので、従業員、ならびに社外へもっと積極的に伝えていきたい部分ですね。
──「維持する」という部分と「切り開く」という部分の両輪で、自分も会社も前へ進める可能性が広がりますね。
亀田 :
わたしはどちらかというと「切り開く」方が得意ですが。(笑)やりたいことが次から次へと湧き出てくるタイプなのですが、会社を前に進めるためにはベースとなる信頼や体力が必要で、それを長年かけて築いた創業者や現社長には大変感謝していますし、自分も受け継いでいかなければならないと思っています。しかし、かつて荒波の中で「維持する」ことが重要な時代でしたが、現代は情報に溢れ、予想もしていなかった分野から競争相手が現れ、維持しているだけでは足下をすくわれる時代になっています。幸い当社には長年築いてきたベースがありますから、それを維持しながら、同時に切り開くことができれば、従業員にとっても、その家族にとっても、そして社会にとっても、魅力的な存在であり続けられるのではと考えています。
──今回、企業ロゴのリニューアルなど、クリエイティブ面にも力を入れていますね。
亀田:
経営に参加して最初に必要だと思ったことが「元気」なんです。進むためには「元気」が必要。そのためには人の心を動かすことが重要。人の心を動かすには、経営者自身が常に前向きに行動していることと、その旗印として質の高い「クリエイティブ」が必要だと考えていました。今回のさまざまなリブランディングは、単に見た目を美しくしたいだけではなく、会社を内外から元気にしたいという想いから行なっています。
──次の50年を見据えて、進めていることがいくつかあると思うのですが、「家具事業」にも今後、さらに力を入れていく予定なのですか?
亀田 :
もともと弊社、創業以前は材木の卸業をしていたんです。その流れから弊社での家具販売が始まったと聞いています。戦後、家具の需要が著しく増えたので非常に重宝されたみたいです。家具は生活に密着した基盤そのものであり、ないと困るものなので、昔はお客様の方から買いに来てくださっていたのですが、今はモノに溢れ、競合が増え、時代背景が大きく変わっています。時代背景の変化への対応は、重要なポイントだと思っています。
──確かに。家具事業も時代に合わせた変化が求められているのですね。
亀田 :
はい。逆に言えば、家具以外の分野に進出できるチャンスも多い。お客様の家具を取り巻くライフスタイルをよく分析していきながら、各々に合った提案を考えられれば、チャンスは広がるはずなんです。
──はじめに社会課題があり、その解決の手法としても、家具事業は良い切口になるということですね。
亀田:
はい。時代が何を求めているかを考えてビジネスを考えたいですね。戦後、モノが無く生活がままならなかったという社会課題と同じく、現在、モノの選択肢は増えているのに家庭やオフィスにおいて、なんとなく気持ちの余裕が無くなってきていることでさえも、ひとつの社会課題と捉え、その課題を解決する方法としても、家具事業をひとつの重要な切り口として考えています。
──なるほど。社会が抱える課題を見つけ「解決」を目指すことが重要なのですね。
亀田 :
結果は大事ですよね。私も前職で結果にこだわってきました。前職で最後のこだわりはCM好感度No.1を競合から取り返した案件ですね。社内外の社長含め関係者一丸となって。大規模なチームプレーでした。幸いブランディング・マーケティング・アド業務全般について、幅広く経験することができたので、結果だけでなく、その前後にあるものを考える癖がついたのは幸運でした。さっきの話も、目の前のゴールは家具の売上を上げることですが、真のゴールは現代の社会課題を解決することであって、そのためには一歩引いて社会に目を向け、何が今問題なのかを、しっかりと見据えることが重要だと思います。
──そうですね。
亀田:
そうすることで、どのような家具が必要なのかが見えて来る。家族の会話を増やすには。楽しく子育てできる環境を作るには。未来を担う子供に大切なことを伝えるには。地方を元気にするには。オフィスの会話を増やすには。リラックスして仕事に集中するには。家具のことを考えると、未来をどうすべきかが見えて来る気がします。
──人の気持ちに寄り添えば寄り添うほど、未来が見えて来るんですね。
亀田:
その通りです。
──企業としてこれから、特に心がけていきたいことはありますか。
亀田 :
先手先手で、先を考えながら、個人的にも、会社としても、行動に移していきたいと思います。楽天やAmazonもそうですよね。自分から何かが欲しいと思ってくれるのを待つのではなく、レコメンドで「これが欲しかったのでは?」と聞いてくれるから、買いたくなるというサービスが増えているのも、それだと思います。
──クライアントからの依頼を待つのではなく「今、何を提案すれば喜んでもらえるのか」を考えるのが大事ということですね。
亀田 :
何が喜んでもらえるのか。は重要な切り口ですね。私は日本ソムリエ協会の資格を持っているので、世の中をもっとハッピーにするために、ワインの力をうまく使えないかなあと思っています。家具があれば食事がある。食事があれば会話がある。会話に花を添えるのがワインです。そう連鎖的に考えていくと、一見関係なさそうな家具とワインも繋がっていますよね。
──まさに、ライフスタイル事業ですね。航空機の部品をつくる仕事にしても「モノ」ではなく、「夢を追って海外へ飛び立つ若者の未来」をつくっている。そうとも考えられますよね。
亀田 :
そうなんです。広い視野があれば一本筋が通った目的が見え、そこに向けて各事業をどう連携していくかを突き詰めていけば、会社の成長軸もより明確になっていくのではないかと考えています。当社の航空と家具も、今は完全に別事業となっていますが、人々が求めるモノやコトにうまく社内のリソースを合わせれば、今まで以上に社会の役に立つ製品が開発できる気がしますし、経営的にも効率化が目指せると思っています。
──なるほど。ライフスタイル事業のことを突き詰めることは、エンドユーザーはもちろん、会社の成長においても、社員のライフスタイルにとっても、良い効果をつくることに繋がりそうですね。
亀田 :
はい。会社の50年後を考えるためには、従業員一人ひとりの、1年後、5年後、10年後の姿もイメージして、計画と振り返りを大事にしていく必要があると思っています。何事も一歩ずつ。ですね。
常識にとらわれない家具づくりの石巻工房と、
自由自在な発想のSteve* inc.が、
新しい時代のモノづくりを語る。
既存の領域を超えて活動する2人の社長が考える、
新しい次代の企業の生き方とは。
50周年事業を締めくくるインタビューをご覧ください。
常識にとらわれない家具づくりの石巻工房と、
自由自在な発想のSteve* inc.が、亀田産業とともに、
新しい時代のモノづくりを考える
スペシャルインタビューをご覧ください。
亀田産業株式会社
専務取締役
亀田寛 (かめだひろし)
1976年栃木県宇都宮市生まれ。
横浜国立大学卒業後、KDDI株式会社にて
ブランディング・マーケティング・アドバタイジングに携わる。
2015年から、家業である亀田産業株式会社に参画。
創業50年を超える歴史と実績を誇る亀田産業の、
伝統の継承とさらなる成長のため、明るく楽しく健康的な会社作りを目指す。
石巻工房
工房長
千葉隆博 (ちばたかひろ)
1972年宮城県石巻生まれ。
地元の高校を卒業後、一時はログビルダーを目指し建築の道に進むが、
家業である鮨店(助六鮨)で震災の日までの約20年間、鮨職人として働く。
震災後、石巻工房に関わるようになり工房長として現在に至る。
石巻工房は2014年3月に法人化。鮨店は父親が再建。
繁忙期にはバイトとして板場に立つこともある。
趣味はモノ作り。
株式会社スティーブアスタリスク
取締役CCO
松浦寿悟 (まつうらとしのり)
1973年福島県福島市生まれ。
NIKE JAPANののデジタルクリエイティブをROOT Communications
クリエイティブディレクター / アートディレクターとして牽引。
デジタルとリアルの境目のないデザイン戦略の経験において
多くの実績を誇る。
東京インタラクティブアワードなど国内外の受賞経験多数。
2018年よりSteve* Inc.に取締役CCOとして参画。
──まずは石巻工房さんにお聞きしたいのですが、ずばり石巻工房とはどんな会社なのでしょうか。
千葉:
家具屋のようで家具屋じゃないところがありますね。やっていることが、普通の家具屋とは違うアプローチをしているというか、、、。といっても僕は普通の家具屋にいたことがないのでわからないのですが(笑)
──どのあたりが、普通じゃないのでしょうか。
千葉:
一言でいうと変態家具ですね。基本的には一般うけしないんですよ。普通とは逆のアプローチなんです。普通はターゲット層に合わせて、こういった家具が流行りだから、こういった層に向けて、こういう売れそうな家具をつくろう、とするじゃないですか。それでデザイナーがそれに合わせてつくるという。石巻工房は一切それがないんです。たとえば次、展示会で「小物」というテーマなので何か考えてくれない?とデザイナーに問いかけるんです。そうすると、デザイナー側も面白がっていろいろ提案してくれるんです。いつのまにか、じゃあ値段をつけよう、じゃあカタログに載せよう。となると、いつのまにか売れ出すという変な進め方なんです。(笑)
──でも、デザイナー側としてはモチベーション上がりそうですね。
千葉:
それはあるみたいですね。いつもは制限の中で作り続けているのが家具の世界なのかもしれません。そこから解放されると、すごく面白いものが出てくる。そういうアプローチなので、いろんな人が来てくれる。いろんなお客さんが現れる。そうすると、今度はお客さんがうちの会社はこんなオフィスなので、こんな家具置きたい、とアイデアをくれたり、どんどん会話が広がってくるんです。
──なるほど。多角的な広がりが面白いですね。会社向けの家具といえば、亀田屋もBtoB向けのビジネスも強化中ですよね。
亀田:
そうですね。働き方改革の流れもあり、お客さまの方も自宅だけではなく会社にも「木」を取り入れたいという要望が増えてきていますね。自宅と仕事場の家具の境目がどんどん無くなってきている感じです。それに合わせて、オフィス用の家具メーカーもどんどん「木」を取り入れた家具が増えてきているので、石巻工房さんとオフィスは非常に相性が良いと思います。
千葉:
やっぱりオフィス空間に「木」があると、休憩スペースと仕事場との切り分けがしやすくなったなど、よく言われますね。
──空間といえば、Steve* inc.では最近空間デザインもてがけられているんですよね?
松浦:
まさに今、亀田屋の宇都宮店舗の内装のデザインプロジェクトを、2019年頭に竣工予定で進めています。今現在は少しノスタルジックさがあるのですが、良い意味で今の時代にあった洗練された空間にしたいなと思っています。とはいえ、千葉さんが言うようにきちっとしすぎるのではなく、大谷石を使ったりするなど、自然の温かみは随所に取り入れたいなと。
亀田:
楽しみです。木もそうですが、大谷石など地元の歴史や素材感というものは今後も大事にしたいですね。地域に根差し、地域と共生していくことは地方の中小企業が存続するための重要なキーワードだと思います。
──Steve* inc.では、もともと、グラフィックやWebや映像などの仕事が多かったと聞きますが、今、どのぐらいの範囲までやろうとしているのですか?
松浦:
全部です。(笑)どこまでもクリエイティブの一環として考えるという社風なので。(笑)ただ、今回は外装ではなく内装に特化しています。入口から入ってすぐのエントランス周りをメインでやりつつ、空間全体の内装をリニューアルしようとしています。合わせて、本来私たちが得意としているグラフィックの力も駆使して、サインやロゴなどの使い所も検討中です。当初は超クールな雰囲気にしすぎちゃったのですが、(笑)亀田さんの意向もあり、あたたかみが伝わる洗練感というテーマで調整中です。大切なのは亀田屋がセレクトしている家具の考え方が伝わるように、家具がメインで引き立つような空間というテーマで作っています。
千葉:
私も店舗へ行ったことがあるのですが、あの立地だと確かに超クールは合わないかもですね。(笑)よりは温かみを感じたほうが、お客さん入ってくれそうですよね。
亀田:
そうですね。今回は外装までは大きな改修は行いませんが、逆にあの外装と良い意味で内部の空間とのギャップができれば、それが話題となって「良い空間だったよ」と、口コミが広がってほしいなとも思っています。
千葉:
空間は大事ですよ。なんか気持ち良い空間ってありますよね。
松浦:
そうなんですよね。その「なんか気持ち良い空間」を、論理的に積み上げて設計していくのが今回のテーマだと思っています。
──ちなみに、今回「亀田家具」から「亀田屋」という屋号に変更していますが、その意図は?
亀田:
地域では「亀田家具」という名前で通っているのですが、名は体を表すということで、新しく変わったということを強く伝えたかったのと、ワインや植物も扱っているという点から、ライフスタイル全体を提案しているということを伝えたかったんです。今後の可能性の広がりも考えて「亀田屋」という屋号に変更しました。
千葉:
良いですね、亀田屋。でも亀田商店とかも良いなぁ?(笑)
亀田:
もう「亀田屋」でECサイトまで立ち上がっちゃってます(笑)
松浦:
今度はネーミング会議にも千葉さんを呼ばないと(笑)でも、亀田さんが言っている、ライフスタイルの提案は今後のキーワードになりそうですね。家具も安いものを消費し続けるという流行りが今は強い感じがしますが、天然のものを長く使い続ける良さ、というものが大切になってくる気がします。
千葉:
それ、わかります。海外から大手家具メーカーがどんどん入ってきていますが、値段が安い。とにかく安い。おかげで、石巻工房は高いってすごく言われるようになりました。(笑)でも、私は壊れたら買い換えるという価値観ではなく、長く使いづつけることで傷なども味と考える派ですけどね。そうなると、やっぱり良い素材でしっかりした作り方をすると、値段は上がってしまう。価値観は人それぞれだとは思うんですが。
──なるほど。確かに、価値観の変化は時代とともに変わってきている気がしますね。
千葉:
私はもと寿司屋なんですが、寿司屋の椅子って、一脚5万ぐらいするんですよ。でも大手家具屋に行くと2,000円ぐらいで売っている。でも、耐久性など、なぜ5万円なのかという理由が必ずある。ただ、そういった説明が伝わらない時が多い。もう、そういった家具ばかり買っていると、家具の値段がそういうものだという固定概念が備わってしまうんですよね。
亀田:
でも、買い替えや故障前提のお買い物ってどうなの?という問題意識は高まってきている気がするんですよ。
千葉:
そうですね。ゴミは捨てて、新しいのを買えば良い。という考えも限界があると思います。最近、海外からのゴミを受け入れ拒否する国も増えてきているみたいですよ。
松浦:
そうなると、国内のゴミは国内でなんとかし続けるしかないですね。東京湾がどんどん狭くなりそうで怖いですね!
──今回、石巻工房やSteve* inc.とパートナーとして組みたいと思ったきっかけは何だったんですか。
亀田:
単純に、石巻工房とSteve* inc.が好きだからです。
千葉:
泣けますね。(笑)
松浦:
嬉しいですね。(笑)
亀田:
本当ですよ。千葉さん松浦さん含め、誰と一緒に仕事をしたいかを決める視点で、人柄はやはり大きい。基本的に、外の人と組むときは情熱を感じる人と一緒に仕事はしたいなと思っています。逆に言えば、情熱だけ感じられれば判断が早い。弊社は宇都宮に本社がありますが、情熱を感じる人がそこにいるのであれば、東京だって、石巻にだって、会いに行きたくなるじゃないですか。そういうモチベーションは、企業を動かすエネルギーになると思うんです。亀田産業が次の50年に踏み込むためには、そういったエネルギーが必要なんです。
千葉:
何か一緒にできたら良いですね。
松浦:
やりましょうよ!オリジナル家具つくりましょう。私がデザインしたら千葉さん、作ってくれますか?
千葉:
良いですよ。じゃあ、亀田さんのお店で売ってもらえますか?
亀田:
お、新プロジェクト決まりましたね。もちろん!この対談をご覧のみなさま、お問い合わせは亀田屋までお願いします。(笑)また定期的にミーティングをしていきたいですね。今日はありがとうございました。
亀田産業株式会社 専務取締役
亀田寛が考える、50年後を目指す企業が、
考えなければならないこととは。
既存の領域を超えて活動する2人の社長が考える、
新しい次代の企業の生き方とは。
50周年事業を締めくくるインタビューをご覧ください。
既存の領域を超えて活動する2人の社長が考える、
新しい次代の企業の生き方とは。
50周年事業を締めくくるインタビューをご覧ください。
亀田産業株式会社
代表取締役社長
亀田寛 (かめだひろし)
1976年栃木県宇都宮市生まれ。
横浜国立大学卒業後、KDDI株式会社にて
ブランディング・マーケティング・アドバタイジングに携わる。
2015年から、家業である亀田産業株式会社に参画。
創業50年を超える歴史と実績を誇る亀田産業の、
伝統の継承とさらなる成長のため、明るく楽しく
健康的な会社作りを目指す。
株式会社スティーブアスタリスク
代表取締役社長
太田伸志(おおたしんじ)
1977年宮城県丸森町生まれ。
東北学院大学経済学部経済学科卒。
10年以上にわたりクリエイティブディレクターとして、
大手企業のブランディング企画を多数手がける他、
武蔵野美術大学、専修大学、東北学院大学の講師も歴任するなど、
大学や研究機関との連携、街づくりにおける企画にも力を入れている。
唎酒師としても活動中。雑誌『Pen』の公式サイトである、
Pen ONLINEで「日本酒男子のルール」を連載。
太田:
まずは、新社長就任おめでとうございます。
亀田:
ありがとうございます。
太田:
いよいよ51年目が始まりますね。企業ロゴや企業タグラインの改定から、映像やWebサイトはもちろん、家具部門の実店舗のリブランディングまで。ほぼ、すべてのクリエイティブに関わらせていただき、ありがとうございました。50周年プロジェクトの総括としてはいかがでしょうか。
亀田:
さまざまなジャンルの創作、おつかれさまでした。50周年というタイミングは振り返りの節目としてちょうど良いタイミングでした。次の一歩を踏み出す前に、50年間どんな歴史をたどって亀田産業が今に至ったのかを知ることから始められたことは、本当に意義があったと思っています。クオリティや世間からの反応には非常に満足していますが、本番は「これから」です。いろいろと仕掛けていくつもりですので、今後ともよろしくお願いしますね。
太田:
もちろんです!100周年を見据えていきましょう。今回の一連の取り組みを経て、社内での変化は何かありましたか?
亀田:
ムービーをはじめ、社内での取り組みを次々と行っていくためには、従業員の協力が不可欠。結果として多くの社内コミュニケーションが生まれました。昨年の10月には社員全員作業着ではなく、ネクタイをして周年記念パーティも行い、50周年プロジェクトの意義やこれからの目的もしっかりと聞いてもらうことができたと思います。社内が一枚岩となっていく上で大きな一歩だったのではないかと思っています。
太田:
50年という歴史って、改めてすごいことですよね。
亀田:
古くからの企業は栃木県にも多いと思いますが、会社の周年記念の節目に振り返りをしている企業はそれほど多くない印象。「振り返る」ということを特別な価値として認識していないのではないでしょうか。
太田:
今回「一歩ずつ」という、企業タグラインとなるコピーを書かせていただきましたが、これは私の頭の中で生まれたコピーというよりは、現会長や亀田さんと一緒に企業の歴史を振り返ったからこそ書けたコピーだと思っています。一緒に歴史を辿ることで、現会長や亀田さんがこういうことを考えているという「熱量のある想い」を可視化したものがあのコピーでした。
亀田:
そう言ってもらえると嬉しいです。今まで何もないところから、視覚的に伝えるものが次々と生まれていく。亀田産業や亀田屋のロゴやコピーの整備など、お客様から見えるものがあるということは非常に大きいステップになったと思います。亀田屋のロゴも素晴らしい。
太田:
あれは「亀」を強く押し出したいという想いを聞いたからなのですが「亀」といえば、僕らの世代のヒーローのあの方が関係していますか?(笑)
亀田:
もちろんあの道着をリスペクトしています。(笑)潜在的にどこかで記憶が刺激されるものを強く押し出すことで、覚えてもらえるという効果は狙いたかった。これは前職のKDDIの宣伝部で培った経験を生かした考え方かもしれません。まずは覚えてもらうきっかけをつくる。そして弊社の取り組みに興味を持ってもらう。あとは質にこだわった仕事を続けていれば少しずつファンが増えていく。そんな流れを一つずつ体現できた1年だと思います。
太田:
視覚的なクリエイティブの整備から始まり、企業としての取り組みも広がって来ていますよね。日本航空宇宙工業会(SJAC)と東京ビックサイトが主催するイベント「国際航空宇宙展」にも、数十年ぶりに参加していますよね。そこにはどんな意図があったのですか?
亀田:
中小企業の存在意義は地域貢献だなという想いからです。こちらに来てから、栃木県の主要事業の中に「航空」が入っていることを知ったんです。だとすれば、栃木県代表の一企業としてここに名を連ねるということは、栃木県への貢献として非常に意味があると思ったからです。外に対して地元の強みをきちんと伝えていきたいという想いは年々強まっていますね。これは、歳をある程度重ねないとわからないことかも知れないですね。
太田:
わかります。私は宮城県出身ですが、年々地元の大切さが身にしみてきています。東北のために何かしたい。そんな気持ちが強まっていますね。僕も将来的には地元へ住みたいと思っています。
亀田:
そう、太田さんみたいに考える人も増えてきたせいか、地元にも移住組やUターン組が意外に多いことが最近わかってきたんです。その多くの人たちは東京で培った感覚を特別と思っていなく「あたりまえ」と思っている上で地元へ帰ってきている。都心的な感覚を持って地元で何かを始める人は自然体だけど熱量を感じる、という印象がありますね。
太田:
僕らの世代の前、親の世代だと「そもそも東京へ行かない」もしくは「東京なんて住むところじゃない」と戻ってくる人が多かったですが、そのどちらでもなく、東京は好きだけど地方へ住むことを「自分の生き方として選ぶ」人が増えている感じはしますね。守りで地元に住んでいる。ではなく、攻めで地元に住む。という感覚。仙台でもそんな人たちが増えてきている気はします。そういう感覚を持っている人は行動も違ってきたりするのでしょうか。
亀田:
確かに、そういった方たちは攻めの姿勢を感じます。地元はある意味恵まれ過ぎているのかもしれません。いろんな人に目をつけられてまで頑張り「過ぎる」必要がなくても一生食っていける。みたいな感覚でしょうか。でも、どこにいても一生安定という時代ではない。自分から行動する必要は誰にでもあるのだと思います。東京で長くやってきた人たちはそういう危機感を肌で感じ、根っこに持っているのかもしれません。
太田:
弊社で空間デザインを担当させていただいた、御社の家具部門「亀田屋」実店舗のリノベーションについても攻めの姿勢からの判断でしたか?
亀田:
はい。せっかくこんなに広い面積があるのに仕切りが多かった。なぜ仕切っているのかを突き詰めていくと、局所局所の暖房効率を上げたかった、お客様の目に触れたくないものをパーテーションで隠していたからなど、こちら側の事情ばかりが原因だったことに気づいたのです。発想を変えて、お客様目線での店舗にしたかった。何をやっているお店かを外からもわかるようにしつつ、人が集まるイベントも実施することで地域に貢献できればという思いもありました。地域には気軽に集まれるようなイベントがまだまだ少ない。その機会をつくることは実店舗にしかできないと思っています。
太田:
やはり地域貢献の視点ですね。確かに「食べる」「飲む」はリアルな場がないと成立しませんよね。先日店舗内で行った、ボジョレーを樽から飲むイベントも大盛況でしたね。
亀田:
そうなんです。人が集まって食べたり飲んだりする場は大昔から変わらず必要なもの。日本酒が好きな太田さんならわかってもらえると思いますが、AIやビッグデータの活用によって相性の分析などもコンピューター任せになってきていますが、結局のところ実際にあってみないとその人柄まではわからない。一緒に食べたり飲んだりすれば、一緒にその人と働きたいかどうかの判断は一瞬でできますからね。一緒に食事をする接点をつくる意義は地域活性の視点からも非常に重要だと思っています。今後もイベントは増やしていきたいですね。
太田:
なるほど。「同じ釜の飯を食う」の効果は絶大ですね。
太田:
亀田産業って、航空機の部品もつくり、家具も売り、ワインも売り、イベントも開催する。一般的にはいろんなことをなぜやるのかって思われませんか?
亀田:
思われますね。「なぜ、家具屋さんなのにワインを売っているのですか?」って良く聞かれます。でもその度に、ワインを飲むためにはテーブルと椅子が必要ですよね。ということは、良いワインは自然と良いテーブルと椅子で味わいたいと思うのではないかと伝えると「確かに」と、すぐに理解してもらえます。でもそれ単体同士がつながっていることに気づかない人が多い。それに気づけるというのも企業のひとつの価値だと思うので、自らどんどんつなぐ動きをして当社に相談が増えるような流れをつくっていきたいと思っています。
太田:
私の考えもまさにそうです。Webやグラフィックだけでなく、映像や音楽、ゲーム開発から商品開発、脚本や空間デザインまで。「Steve* inc.って何をつくる会社なの?」とよく聞かれますが、私にとってはすべて「クリエイティブ」という視点で無視できない繋がりの一つでしかないんです。Webサイトをつくるためにはコンテンツが必要。コンテンツに商品が絡むのであればパッケージデザインが必要。パッケージを考えるからには商品開発にも絡みたい。それをお披露目する空間も大切。と、全部つながっていきますよね。
亀田:
つまりどこまで意識するかの違いなだけ。別なジャンルだから考えないというのは本質ではないですね。前職でもマーケティングはマーケティングの部署、商品開発は商品開発の部署、宣伝は宣伝部署という分断がモヤモヤした違和感を生み出していた気がします。でも、だからこそ今のスピーディな判断と行動のストレスの無さを実感できているとも言えます。
太田:
やることは増えるかもしれませんが気持ちとしては自然体。頭の中はシンプルでクリアになりますよね。
亀田:
もともと「すぐやる」という性格もあったせいかもしれません。前職では資料作成から始まり他部門調整や根回し、決裁、承認などというフローが多過ぎて、何をするにも時間がかかっていたのですが、今はものすごくスピーディ。自分のアイデアや判断のスピード次第で短期間に多くのことが進められるという実感があります。
太田:
面白いですね。東京にいるほうが仕事のスピード感が早いという話はよく聞きますが、今の話は逆で、東京にいるほうが、多くの人を経由するため、実際は「遅い」と。
亀田:
もちろん大きな投資を伴う案件はじっくり考えた方が良いのでケースバイケースですが、そういう側面はあると思います。今振り返ってみると東京の頃は忙しいは忙しかったのですが、無駄な動きが多かったと思います。そのときは言われたことをこなすこと、全体の流れを止めないために必死でやっていたことも、冷静に見ると、あれ必要だったかな?みたいな。大企業にいると自分で決められないことも多いですよね。それは会社のせいでもあるし自分のせいでもあるわけですが。その経験もあるので今「自分で決められる」というメリットは大きい。大企業でそういったブレーキに不満を感じている人ほど地方で働くことはメリットが大きいかもしれませんね。
太田:
そして、51年目のスタートを迎えて満を持しての社長就任ですね。今後の活動に向けて、テーマみたいなものはありますか?
亀田:
テーマは、一言でいえば「自立」ですね。誰かのせいにするのではなく、自分には何ができるかを一人ひとりが考えられる会社にしていくことが目標です。何か問題があったときにクライアントのせいにしたり、社内でうまくいかないことがあったら誰かのせいにする。そういったことでは本質的な解決は生まれない。自分がどう動けばその問題はおきなかったのか。そういった行動が増えてくることが社内外から実力を認めてもらうことに繋がる。結果として、企業としての価値も高まり未来が開けると考えています。
太田:
なるほど。「自立」はいわゆるフリーになれ。ということではなく「自分には何ができただろうか」とお互いに思い合う姿勢ということですね。
亀田:
その通りです。自分の仕事領域以外のことをすると、逆に目をつけられて自分の評価や存在価値が下がると感じている人も多いのではないでしょうか。でも、そんな時代じゃない。一人ひとりが自分の領域を超えて新たな領域に食い込み、それを経験することで改めて自分の能力に気づく。人のせいにしない。自分でできることを認識する。できない領域は信頼できる仲間に頼る。この辺のバランスを身に付けてほしいと思っています。
太田:
そんな自立を目指している亀田さんが、弊社に頼ってくれたのはどんな意味があるのでしょうか。
亀田:
もちろん自分自身でできる領域は広げて行こうというスタンスですが、自分でやるより信頼できる仲間を頼った方が明らかにパフォーマンスが上がる領域があります。例えば「デザイン」です。いわゆる視覚に訴えること。自分で描いた絵と、Steve* inc.さんがつくってくれたデザインでは、コミュニケーションの伝達スピードがまったく異なります。自立を目指すことで新しい共存の形がある。その体現が太田さんとの関係だと思っています。もはや弊社のデザイン部門という意識で年間契約をさせていただいていますが、いつもその対応の柔軟さに驚かされます。
太田:
ありがとうございます。私たちとしても、これを作って「いくら」。という仕事は減らしていきたいと思っています。今後はブランドのパートナー、企業のパートナーとして、一緒に1年後、5年後、10年後を見据えて、どんな商品をつくれば良いか、どんなコピーを書けば良いかという視点で考えられるのですごく意味があると思います。特に地方という意味ではまだまだその必要性を感じてくれている企業は少ないと思いますが、亀田産業さんはかなり早い段階から長期的なクリエイティブパートナーを必要と思ってくれていたので、すごく嬉しいです。
亀田:
いえいえ。もはやデザインは企業の経営戦略の一部。わたしも「デザイン経営」というキーワードを打ち出していきますので、そこを腹を割って話せるパートナーがいるというメリットの認識がもっと増えると良いですね。自立の先の信頼があれば、対外的に今まで受けられなかった仕事も受けられるようになるし、御社との連携でいえばデザインが絡む仕事の相談があっても、自信を持って大丈夫ですと言える心強さはありますね。
太田:
今後もどんどんその繋がりを広げていく感じですよね。
亀田:
そうですね。私はそれを「ハニカムネットワーク」と呼んでいます。弊社の航空機部品で六角形のハニカム構造の部品をつくっていますがその構造のように、50年後を見据えながら時代を超えて強固な連携を広げていきたいです。
太田:
ハニカムネットワーク!楽しみですね!
亀田:
マンガみたいですが、信頼できる仲間を1人ずつ集めて、レベルアップして、世の中に感動をもたらす、というのをリアルでやっていたいですね。50周年プロジェクトは振り返りと今後の飛躍のために一旦ここで区切りをつけますが、これからも新たなプロジェクトをどんどん生み出していきますので、引き続き宜しくお願いします!
亀田産業株式会社 専務取締役
亀田寛が考える、50年後を目指す企業が、
考えなければならないこととは。
常識にとらわれない家具づくりの石巻工房と、
自由自在な発想のSteve* inc.が、
新しい時代のモノづくりを語る。
歴史と伝統を重んじながらも、
新しい分野への一歩を踏み出していくために、
一緒に歩んでいただけるスタッフを募集中。
亀田産業では一緒に働く仲間を募集しております。
当社は1968年設立の企業です。
50年の歴史があるからといって古い従業員ばかりではなく、
ベテランと若手がバランスよく融合している会社です。
社風は基本的に大らかで自由な雰囲気。
しかし品質や特殊技術など製品の根幹に関わる部分には
徹底的にこだわる、プロ意識の高い集団です。
当社には大きく「航空部」と「家具部」の2部門があります。
「航空部」は航空部品の製造、「家具部」は家具や雑貨、
ワイン販売が主な業務となります。
全く業務内容の異なる両部ですが、共通して言えることは
「人」が重要であり、会社として人は財(たから)だと
考えているということです。
そのため当社では、1人1人の個性を考え大事にしており、
定期的な1対1の経営者面談をはじめ、あらゆる階層での
ミーティングを実施し、従業員1人1人の最近の取組や
考え、悩みを共有する対話の時間を大切にしております。
特に製造業というとラインに入って黙々と作業をこなす
イメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
亀田産業ではもちろん仕事を一生懸命頑張る方しか採用は
致しませんが、言われたことだけを淡々とこなすのではなく、
周囲と意見交換しながら従業員1人1人が成長し、結果会社
も成長することを目指しています。
明るく働きたいあなたが輝ける場所を創っています。
決してあなたを1人にはしません。
一緒に明るい未来を創っていきましょう!
専務取締役
亀田寛
応募資格:
資格は特に問いません。
雇用形態:
正社員(新卒・中途)
パート
勤務地:
栃木県宇都宮市 本社勤務
勤務時間:
08:00~17:00
(休憩時間10:00~10:10、12:00~12:45、15:00~15:15)
給与:
当社規定により、経験・能力を考慮し、面談の上決定
待遇:
交通費支給、各種社会保険完備
休日・休暇:
土日祝(年数回の土曜出勤あり)・慶弔休暇・年次有給休暇・夏期休暇・年末年始休暇
応募資格:
資格は特に問いません。販売経験者が望ましい
雇用形態:
正社員(新卒・中途)
パート
勤務地:
栃木県宇都宮市 本社勤務
勤務時間:
09:00~18:00
(休憩時間12:00~13:00)
給与:
当社規定により、経験・能力を考慮し、面談の上決定
待遇:
交通費支給、各種社会保険完備
休日・休暇:
水木(年数回の木曜出勤あり)・慶弔休暇・年次有給休暇・夏期休暇・年末年始休暇